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2020/7/28 朝鮮半島と日本の未来 [読む]

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サンデーモーニングのコメンテーターのひとり、姜尚中(かん さんじゅん)氏。
テレビではいつも鋭い意見を決して声を荒げることなく、静かに淡々と述べる。
Wikipediaによると在日韓国人2世で、熊本県生まれ。

彼は朝鮮戦争の始まりから終わりまでをまとめようとしていたようだ。
しかし、昨今の北東アジアの不安定な状況と、彼自身の年齢から、
「私はもう南北朝鮮の統一を見届けることはないのだ」
と冒頭で嘆いている。

1910年、日本は朝鮮半島を併合する(日韓併合)。
その状態で1945年、太平洋戦争に負けたため、
連合国のアメリカとソ連によって南北に分割統治される。
1948年、南側は大韓民国、北側は朝鮮民主主義人民共和国として独立国家となった。
1950年、北側が、38度線を越えて南側へ侵略し、朝鮮戦争が勃発した。
南はアメリカと国連、北は中国が支援し、戦争は泥沼化する。
1953年、休戦協定が結ばれ、現在に至る。

その後、南北統一は朝鮮人民の悲願として何度も模索されたが実現していない。
北朝鮮は、核開発を巡りアメリカと折り合えず、拉致問題を抱える日本とも対立している。
さらに、教科書問題、慰安婦問題、徴用工問題で日本と韓国の不仲も続く。

著者の主張は、核問題をあとまわしにして、まず、北朝鮮の体制を保証し、次に経済協力を行って北朝鮮の経済を安定させ、最後に核問題を解決して南北統一をめざすということである。
ひとつひとつのプロセスに数年を要し、長い年月がかかるとしている。

サンデーモーニングの解説よりは、やや難しい論調で書かれている本だが、著者の朝鮮半島への熱い思いが伝わってくる。


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2020/7/25 安楽死 [考える]

2019年11月30日、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の当時51歳の女性患者に薬物を投与して殺害したとして、2020年7月23日、京都府警は2人の医師を嘱託殺人の疑いで逮捕した。
(嘱託殺人とは、被害者に依頼されて殺人を実行すること)

私の記憶にある過去の2件の安楽死事件。

東海大学安楽死事件
1991年4月13日、多発性骨髄腫で入院していた患者に塩化カリウムを注射して死亡させた。
判決:懲役2年執行猶予2年

川崎協同病院事件
1998年11月2日、気管支喘息重積発作患者に筋弛緩薬を注射して死亡させた。
判決:懲役1年6ヶ月執行猶予3年

東海大学安楽死事件の判決では、医師による積極的安楽死として許容されるための4要件として、

1 患者が耐えがたい激しい肉体的苦痛に苦しんでいること
2 患者は死が避けられず、その死期が迫っていること
3 患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くしほかに代替手段がないこと
4 生命の短縮を承諾する患者の明示の意思表示があること

を挙げた。

この2件の「安楽死」は、本人の「死にたい」という意思の確認が取れない状況で、家族の「楽にしてあげたい」という強い希望のもとに行われた。
本人の意思確認がないことが有罪の根拠であり、家族の強い希望に逆らえずに止むを得ず行ったことが酌量したポイントだと思われる。

今回のALSの事例ではどうだろう。
患者は四肢が動かせない状態ではあったが、人工呼吸器はつけておらず、病状は安定していたという。
SNSを通して、医師へ安楽死の希望を伝え、費用を送金していた。

4つの要件のうち、
1 耐えがたい肉体的苦痛はなかったと思われるが、精神的な苦痛は耐えがたいレベルだったかもしれない。
2 ALSは、治療法が見出されていない難病であり、「死を避けられない」病気であるが、新聞記事をみる限り、死期が迫っている状態ではない。
3 安楽死を容認するほどの肉体的な苦痛(痛みや呼吸苦)はなかったと思われる。
4 ○

前の2つの事件と比べてみると、この4つの条件自体に矛盾を感じる。

耐えがたい肉体的苦痛を伴うほど病気が進行すると、自ら「意思表示」することすら難しくなる。
逆に冷静に意思表示できる段階では、まだ死ぬまでに余裕がある。

また、前の二つの事件では、苦しんでいる患者を目の前にして、家族から「お前は医者だろ、苦しがっているじゃないか、なんとかしろよ」と執拗に迫られて、半ば脅しに負けて実行してしまったとも推察される。

今回の事件は、本来の「安楽死」に近いと思う。
この先、耐えがたい苦痛が避けられないことを知って、その前に命を終わらせるという選択だ。

頭の中では認めていても自分の手で実行したら犯罪者になってしまうから、しない、というのが「常識的な」医師の判断だろう。
今回の事件で逮捕された2人の医師は、確信犯といえる。たとえ有罪になっても、自分のしたことは間違っていないと信じているだろう。

賛否両論、ケースバイケース、なかなかすっきりと決められない問題だが、日本人の性格として、より安全な、批判されない方を選ぶ傾向があり、今回の事件も時間が経てば忘れられ、問題は前に進まないだろう。

死は、全ての人に訪れる。楽に死ねると思わないほうがいい。
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2020/7/23 日本沈没2020 [観る]

今日は「海の日」。明日は「体育の日」。今年限定で7月24日になりましたが、意味がなくなってしまいました。そして、4連休なのに天気が悪く、小池さんに言われなくても外出する気になりません。雨の4連休で感染者数増加に歯止めがかかると良いのですが。。
しかし、夜の街に出かける人たちは、しぶといですね。
あれだけニュースで騒がれても自粛ムードが感じられません。
男の本能が為せる技でしょうか?

原作:小松左京
となっていますが、原作とは全く違うストーリーです。
原作も面白かったですが、2020も哀しみと勇気の物語です。

テーマ曲は、坂本龍一/大貫妙子「a life」

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