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2020/2/21 10万個の子宮 [読む]

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COVID-19のニュース番組でよく見かける村中璃子先生。
子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)。
ワクチンが開発され、子宮頸がん予防への期待が高まった。
しかし、予防接種した少女たちの一部に、さまざまな精神、神経症状がみられ、ワクチンの副作用ではないかとの疑いがもたれ、これを大きく報道したマスコミの影響もあり、日本のワクチン接種率は大きく低下した。
村中先生はワクチン接種後にみられた症状はワクチンの副作用ではないという立場である。
多くの先進国ではこのような副作用は問題になっておらず、接種が行われている。
ワクチンを接種していない人にも同程度の頻度で同様の症状がみられる。
というのが主な根拠である。
一方でワクチンの副作用であるとする立場の学者の主張を論理的に否定している。

「急に歩けなくなった」というような症状で、様々な検査を行っても異常がみられないときに、その症状をどうやって説明するか。
「どこも悪くない」と言ってしまえば簡単だが、患者は苦しんでいる。
はっきりした根拠がなくても、「原因はこれです」と言われれば、それにすがりたくなる。
そんなとき残された可能性としてワクチン接種が疑われ、患者の親もそれを信じ込んでしまう。

科学者や医療者は、証明できないが否定もできない。ジレンマに陥る。

医療の落とし穴であり、都合のいい点でもあると思う。

本書では、ワクチンの副作用ではないことを「証明」はできていないと思うが、あらゆる可能性を追求し、説得力のある主張をされている。

なによりも(誤った根拠により?)副作用を恐れ、ワクチン接種が行われないことにより、子宮頸がんで苦しむ人が減少しないということ、せっかくの科学の恩恵が無駄になっていることが残念であり、問題である。
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