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2019/10/30 禁煙外来 [病む]

相手に圧倒され、打ち負かされ、言いなりになり、あとで悔しくてみじめになる、こんな経験はないでしょうか? それをブログに書いて発散するというのもまた悲しいです。

昨日、禁煙外来を初診で受診した患者。
生活保護受給者です。保険診療だと自己負担はありません。
1日40本タバコを吸っていて、月にタバコ代が3万円かかるといいます。
チャンピックスという内服薬の禁煙治療薬の説明をすると、
ほかにもいろいろ薬を飲んでいるので飲み薬ではなく、貼り薬がほしいという。
ニコチネルTTSという貼り薬は、成分はニコチンで、タバコの代わりに薬からニコチンを吸収して、タバコをやめるという理屈です。
チャンピックスは作用機序が異なり、ニコチンは含まれていません。
ニコチン製剤にはニコチネルパッチという商品名で処方箋なしでも薬局から購入できるものもありますが、保険がきかないので、生活保護者でもお金を払わなければなりません。
一方、ニコチネルTTSを健康保険で処方するためには、呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患があって医師が治療上禁煙が必要と認めた場合という条件が必要です。
この患者には内科疾患がなかったので、ニコチネルTTSは処方できないことを説明し、チャンピックスを処方しました。

すると、今日、患者から電話があり、ネットで調べたら、ニコチネルTTSも保険で処方している病院があるから、処方してほしいとのことでした、
内科的な基礎疾患がないと保険では処方できないことを説明すると、今は医者にかかっていないが喘息があると言い出し、処方できるという病院があるなら、そちらにかかって処方してもらうようにいうと、こちらの病院で処方してほしいという。
押し問答していましたが、相手は一方的にニコチネルTTSの処方を要求し続けたため、根負けし、処方を変更することにしました。

ここからは、私の推測ですが、おそらく患者はニコチンをただで手に入れたいと考えているのだと思います。禁煙するつもりはなく、ニコチン製剤を貼ることにより、タバコの本数を減らし、タバコ代を浮かそうと考えているのだと思います。ある意味、究極のニコチン依存症です。

ニコチネルTTSの治療期間は8週間なので、2か月後には結果がでます。
この患者が禁煙達成していたら、心よりお詫びして、この記事は削除します。
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