SSブログ

2023/1/5 舞姫 [読む]

舞姫.png

森鴎外の短編小説ですが、文語体で書かれていて、古文の苦手な私は最初の1ページで匙を投げました。

今回、作家の井上靖さんが現代語訳した本をみつけたので読んでみました。

書き出しは、

原文では
石炭をばはや積み果てつ。中等室の卓のほとりはいと静かにて熾熱灯の光の晴れがましきもいたづらなり。

現代語訳では
石炭はもう積み終えてしまった。二等室のテーブルのあるあたりはたいへん静かで、白熱電燈の光の晴れがましいのも無駄なことに思われる。

とても読みやすいです。

森鴎外が軍医としてドイツに留学した時の経験を小説にしたものとされています。

官僚としてベルリンに赴任した「私」。
ある日、街角で泣いている少女に声をかけた。
その子はエリスという名の踊り子(舞姫)で、父親が死にお金がなく、途方に暮れていた。
それから「私」とエリスの交際が始まった。
「私」の妬む同僚たちが、そのことを上官に密告して、「私」は官職を失った。
友人が、復帰できるようにいろいろ計ってくれて、官職に復帰し、エリスと別れて日本に帰国することを勧められた。
「私」は悩んだ末、帰国することにした。
そのときエリスは妊娠していて、自分も連れて行ってほしいと哀願するが、結局、「私」は心に傷を負いながらも、エリスを捨てて帰国の途についた。

愛をとるか、安定した将来をとるかという選択を迫られるというストーリー。

安全地帯の「碧い瞳のエリス」は、舞姫をイメージした歌ということです(1985年リリース)。

nice!(20)  コメント(2) 

nice! 20

コメント 2

ミィ

舞姫、国語で習いました。
ラストが結構衝撃的ですごく印象に残ってます。
郷ひろみさんで映画化されてたけど
エリス役の子に本当に好きになられて大変だったと
たしかご本人が話してました。
by ミィ (2023-01-06 15:38) 

SGW

ミィ様
小説だと帰りの船の中で回想する形になっていますが、解説によるとエリスはその後、森鴎外を追って来日し、鴎外の親族に説得されてドイツに帰ったようです。とてもしっかりしたお嬢さんだったようです。
今、歳をとって思い返すと、自分を好いている人を捨てるのは、とても残酷なことだと思います。何かの歌の歌詞にあったような気がしますが、ふるよりはふられる方がましです。最初に好きになった人と一生、一緒にいられたら幸せですね。
by SGW (2023-01-07 16:38)