SSブログ

2020/4/23 ウイルスは生きている [読む]

無題.png
久しぶりの電子媒体。
今のご時世、紙の本は配送に時間がかかり、またこの本は今のキーワードである「ウイルス」に関するものなので人気があるのか、中古本も安くない。

文章が上手で、読みやすい。
まずは、ウイルスの特徴を説明。
DNAまたはRNAをカプシドという殻で覆い、さらにその外側にエンベロープという膜が覆う。
ウイルス単体では増殖することができず、細胞に侵入して、宿主のエネルギーやたんぱく質を利用して増殖する。
著者は生物学者なので、この本はウイルス感染症の脅威についてではなく、ウイルスの興味深いふるまいについて論じている。
ウイルスは他の生物にとって有害なものばかりではない。
宿主の生命活動を補うべく共生するウイルスもいる。
生物の進化のしくみとして、ダーウィンの進化論が有名だが、これは、偶然に起こる複製ミスによって変異したDNAのうち、生き残れないものは淘汰され、逆にそれまでよりも優れた能力を獲得した変異は、より優位に生き残っていく結果、長い時間を経て進化が起こるというものだ。
これに対して、細胞に侵入したウイルスが宿主のDNAに組み込まれることにより、宿主が新たな能力を獲得して進化するということがわかってきた。
様々な遺伝情報を持ったウイルスが宿主細胞に「感染」することにより、あるときは、新型コロナウイルスのように宿主の生命を脅かすが、またある時は宿主の生命活動に有利に働いたり、宿主のDNAに組み込まれてその情報を子孫に伝えていく。

おもしろかったのは、終わりの方に書かれている生命とはなにかという話である。
人間で言えば、脳で考え、喜怒哀楽こそが生きているということだと思われている。
けれども、科学的に自己複製能力を生命の本質と考えれば、DNAこそが生命であり、体はDNAを絶やさないための道具である。
我々の体は、DNAという「生命」の指令により作られたたんぱく質の働きにより、ご飯を食べてエネルギーを産生し、異性と性行為をしてDNA情報を子孫に残す道具と考えることもできる。
nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。